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意匠法56条-60条の3

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

意匠法56条

 無効にした意匠登録に係る意匠権が再審により回復したとき、又は拒絶をすべき旨の審決があつた意匠登録出願について再審により意匠権の設定の登録があつたときは、当該審決が確定した後再審の請求の登録前に善意に日本国内において当該意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている意匠及び事業の目的の範囲内において、その意匠権について通常実施権を有する。

意匠法57条(審判の規定の準用)

第一項

 第五十条第一項及び第三項の規定は、拒絶査定不服審判の確定審決に対する再審に準用する。

第二項

 第五十一条の規定は、補正却下決定不服審判の確定審決に対する再審に準用する。

意匠法58条(特許法 の準用)

第一項

 特許法第百七十三条 及び第百七十四条第四項 の規定は、再審に準用する。

 ・再審の請求期間は、再審事由を知ったときから30日又は再審事由の発生から3年である。

第二項

 特許法第百三十一条第一項 、第百三十一条の二第一項本文、第百三十二条第三項及び第四項、第百三十三条、第百三十三条の二、第百三十四条第四項、第百三十五条から第百四十七条まで、第百五十条から第百五十二条まで、第百五十五条第一項、第百五十六条第一項、第三項及び第四項、第百五十七条、第百五十八条、第百六十条、第百六十七条の二本文、第百六十八条、第百六十九条第三項から第六項まで並びに第百七十条の規定は、拒絶査定不服審判の確定審決に対する再審に準用する。この場合において、同法第百六十九条第三項 中「拒絶査定不服審判及び訂正審判」とあるのは、「拒絶査定不服審判」と読み替えるものとする。

 ・特159条は不準用であり、意57条で意50条3項を準用している。

第三項

 特許法第百三十一条第一項 、第百三十一条の二第一項本文、第百三十二条第三項及び第四項、第百三十三条、第百三十三条の二、第百三十四条第四項、第百三十五条から第百四十七条まで、第百五十条から第百五十二条まで、第百五十五条第一項、第百五十六条第一項、第三項及び第四項、第百五十七条、第百六十七条の二本文、第百六十八条、第百六十九条第三項から第六項まで並びに第百七十条の規定は、補正却下決定不服審判の確定審決に対する再審に準用する。この場合において、同法第百六十九条第三項 中「拒絶査定不服審判及び訂正審判」とあるのは、「補正却下決定不服審判」と読み替えるものとする。

第四項

 特許法第百七十四条第二項 の規定は、意匠登録無効審判の確定審決に対する再審に準用する。

意匠法59条(審決等に対する訴え)

第一項

 審決に対する訴え、第五十条第一項(第五十七条第一項において準用する場合を含む。)において準用する第十七条の二第一項の規定による却下の決定に対する訴え及び審判又は再審の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。

 ・拒絶査定不服審判にて補正が却下された場合は、東京高裁に提訴する。よって、補正却下不服審判を請求することはできない。

第二項

 特許法第百七十八条第二項から第六項まで(出訴期間等)、第百七十九条(被告適格)、第百八十条第一項(出訴の通知等)及び第百八十条の二から第百八十二条まで(審決取消訴訟における特許庁長官の意見、審決又は決定の取消し及び裁判の正本等の送付)の規定は、前項の訴えに準用する。この場合において、同条第二号中「訴えに係る請求項を特定するために必要な」とあるのは、「旨を記載した」と読み替えるものとする。

 ・附加期間により、審決等に対する訴えは30日経過後でも提訴できる。また、追完も可能である。

意匠法60条(対価の額についての訴え)

第一項

 第三十三条第三項又は第四項の裁定を受けた者は、その裁定で定める対価の額について不服があるときは、訴えを提起してその額の増減を求めることができる。

第二項

 特許法第百八十三条第二項 (出訴期間)及び第百八十四条 (被告適格)の規定は、前項の訴えに準用する。

意匠法60条の2(不服申立てと訴訟との関係)

 特許法第百八十四条の二 (不服申立てと訴訟との関係)の規定は、この法律又はこの法律に基づく命令の規定による処分(第六十八条第七項に規定する処分を除く。)の取消しの訴えに準用する。

意匠法60条の3(手続の補正)

 意匠登録出願、請求その他意匠登録に関する手続をした者は、事件が審査、審判又は再審に係属している場合に限り、その補正をすることができる。

 ・補正却下決定不服審判の請求後、審決謄本の送達前までは補正をすることができる。そのため、補正却下決定不服審判の審決取消訴訟係属中に補正をすることはできない。
 ・写真、図面、見本、ひな形、相互間の補正であっても同一性が確保出来れば要旨変更にはならない。
 ・審判請求から審決の間まで補正でき、査定謄本送達前までは補正できる。つまり、拒絶査定不服審判又はその再審の審決謄本送達前までは補正できる。一方、登録査定後に補正する機会はなく、無効審判中は補正できない。登録後の事情であるからである。
 ・登録査定は送達により確定するので査定謄本送達後は補正できない。特許も同様である。なお、商標法では、登録料の納付と同時に区分の数を減ずる補正ができるので、登録査定後も補正できる。
 ・拒絶査定後審判請求前の期間は、審査又は審判に係属している期間に該当しない。よって、この期間に分割はできない。なお、拒絶査定不服審判は、審理終結通知後、審決まで補正できる。
 ・願書及び図面等を総合的に判断して、部分意匠の意匠登録出願であることを当然に導き出すことができるときに、「部分意匠」の欄を追加する補正は、要旨を変更するものではない。また、図面等を総合的に判断して、全体意匠の意匠登録出願であることを当然に導き出すことができるときに、「部分意匠」の欄を削除する補正は、要旨を変更するものではない。また、図面等を総合的に判断して、部分意匠であることが明確であって、部分を当然に導き出すことができるときに、部分を特定する方法に関する記載を補充する補正は、要旨を変更するものではない。また、願書に「部分意匠」の欄がなく、図面等を総合的に判断して、全体意匠であることを当然に導き出すことができるときに、部分を特定する方法に関する記載を願書から削除する補正は、要旨を変更するものではない。
 ・物理的に分離した二以上の部分を包含して、一意匠と取り扱うことのできない部分意匠の意匠登録出願を分割する際に、もとの部分意匠の意匠登録出願の願書に添付した図面等に表されていた当該「意匠登録を受けようとする部分」を「その他の部分」に訂正する補正は、要旨を変更するものではない。
 ・意匠の属する分野における通常の知識に基づけば、当然に不備のない記載を直接的に導き出すことができるとき、記載不備が、意匠の要旨の認定に影響を及ぼさない程度の微細な部分と認められるとき、は要旨を変更する補正ではない。
 ・その意匠の属する分野における通常の知識に基づいて、願書の記載及び願書に添付した図面等から直接的に導き出される具体的な意匠の内容を、意匠の要旨という。
 ・図面等からその意匠の属する分野における通常の知識に基づいて当然に導き出すことができる意匠の同一の範囲を超えて変更する補正、出願当初不明であった意匠の要旨を明確なものとする補正、は図面等の要旨を変更するものと認める。
 ・要旨変更の具体的基準:
 @図面:各図不一致の訂正、図法の訂正、陰影等の意匠構成要素以外のものを訂正等、誤記の訂正の範囲に入る場合は、原則として要旨変更ではない。新たな図面を補充する場合は、新たに表現提示された所が出願当初に開示されるものに基づいて、当業者が当然に推定想到するであろう範囲のものである時は、要旨変更にはならず、当然に推定想到する範囲を超える時は、要旨変更になる。模様や色彩を限定した意匠を、それらを限定しない意匠に変更することは原則として要旨変更に該当すると解する。
 A意匠に係る物品の記載:原則として、意匠に係る物品が実質的に異なることとなる場合は要旨変更であり、表現上の相違であって実質的に物品そのものの変更とはならない場合は、要旨変更とはならない。例外的に、意匠に係る物品を実質的に変える場合であっても、他の記載からみて明らかに誤記の訂正と言える補正は要旨変更とはならない。
 B意匠の説明の記載:要旨変更か否かは、図面の記載と一体的に解して意匠の本質に影響を与えるか否かで判断する。
 C意匠に係る物品の説明の記載:当初何等の記載もなく、後に説明を追加した場合は、図面等から推測して常識として納得できる範囲内であれば、要旨変更とはならない。一方、一旦何等かの記載があり、それを補正する場合には、その記載から類推でき且つ図面等からも推測して常識として納得できる範囲内でなければ要旨変更となる。
 ・補正が不適法である場合の取扱い:
 @登録査定謄本送達前に要旨変更と認定された場合は、その補正は却下される。出願人はこの却下に不服がある場合には、補正却下決定不服審判を請求でき、不服がなく補正後の意匠について登録を望む場合には、新出願をすることができ、出願時が補正書提出時まで遡及する利益を受けることができる。また、登録後に要旨変更と認定された場合は、出願時が手続補正書提出時に繰り下がる。第三者に不利益とならないようにするためである。
 A補正可能な時期を途過した補正は、弁明書提出機会を与えられた後、却下処分となる。
 ・部分意匠の意匠の要旨とは、部分意匠を認定するための各要素(@部分意匠の意匠に係る物品、A「意匠登録を受けようとする部分」の用途及び機能、B「意匠登録を受けようとする部分」の位置、大きさ、範囲、C「意匠登録を受けようとする部分」の形態)から直接的に導き出される具体的な意匠の内容をいう。
 ・一意匠と取り扱うことのできない部分意匠を、分割を伴わずに、「意匠登録を受けようとする部分」以外のすべての部分を「その他の部分」に訂正する補正は、要旨を変更するものではない。
 ・部分の形態、位置、大きさ、範囲を、当然に導き出すことができる同一の範囲を超えて変更する補正は、要旨を変更するものである。また、形態、位置、大きさ、範囲が不明であるときに、それらを明確なものとする補正は、要旨を変更するものである。
 ・「その他の部分」の一部を実線にすることによって、あるいは「その他の部分」の輪郭形状を変更することによって、「意匠登録を受けようとする部分」の形態、位置、大きさ、範囲を、当然に導き出すことができる同一の範囲を超えて変更するものとなる補正は、要旨を変更するものである。また、部分意匠の意匠登録出願であることを当然に導き出すことができるときに、全体意匠の意匠登録出願に変更する補正は、要旨を変更するものである。
 ・「意匠に係る物品」の欄に別表第2に掲げる組物が記載されておらず、定められた構成物品のすべての物品に係る意匠が記載されているときに、「意匠に係る物品」の欄に別表第2に掲げる組物の一に訂正する補正は、要旨を変更するものである。ただし、「一組(一揃え)の○○セット(ユニット)」、「一組(一揃え)の○○」、「○○セット(ユニット)」などのような記載を、当該導き出すことができた組物の一に訂正する補正は、要旨を変更するものではない。
 ・「意匠に係る物品」の欄に別表第2に掲げる組物の一が記載されているが、図面等に一の意匠しか記載されていないとき、「意匠に係る物品」の欄の記載を、当該一の意匠に係る物品が属する別表第一の下段に掲げられた物品の区分又はそれと同程度の区分による物品の区分に訂正する補正は、要旨を変更するものではない。
 ・構成物品として適当であると認められる物品を補充あるいは削除する補正は、要旨を変更するものである。
 ・図面等を総合的に判断して、構成物品の形態を当然に導き出すことができるときに、構成物品ごとの形態を表した図面を願書に添付した図面等に補充する補正は、要旨を変更するものではない。


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