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意匠法36条-40条

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

意匠法36条(特許法 の準用)

第一項

 特許法第六十九条第一項 及び第二項 (特許権の効力が及ばない範囲)、第七十三条(共有)、第七十六条(相続人がない場合の特許権の消滅)、第九十七条第一項(放棄)並びに第九十八条第一項第一号及び第二項(登録の効果)の規定は、意匠権に準用する。

 ・試験又は研究のためにする実施には、効力が及ばない 。一方、特69条3項は準用していない。

意匠法37条(差止請求権)

第一項

 意匠権者又は専用実施権者は、自己の意匠権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

第二項

 意匠権者又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(プログラム等(特許法第二条第四項 に規定するプログラム等をいう。次条において同じ。)を含む。以下同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。

 ・差し止めの対象には、プログラム等が含まれる。意匠法の保護対象である物品には「プログラム等」が含まれないが、侵害の行為を組成する物には、侵害物品を製造するための工作機用プログラム等が含まれ得るためである。

第三項

 第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠に係る意匠権者又は専用実施権者は、その意匠に関し第二十条第三項各号に掲げる事項を記載した書面であつて特許庁長官の証明を受けたものを提示して警告した後でなければ、第一項の規定による請求をすることができない。

 ・秘密意匠の内容は一般に公開されないので、いきなり差止請求できるとすると善意の実施者に酷であるからである。
・警告を受けたものは意14条の閲覧を申請できる。警告後も実施した場合は悪意の実施として差止、損害賠償請求の対象となる。
・悪意であっても警告が必要である。
・損害賠償請求の場合には適用されない。但し、過失が推定されない。


意匠法38条(侵害とみなす行為)

第一項

 次に掲げる行為は、当該意匠権又は専用実施権を侵害するものとみなす。

 ・意匠権の侵害に用いられる専用部品の供給などは、意匠権を直接侵害しないことが多い。しかし、直接侵害を惹起する蓋然性が極めて高く、そのような行為を放置すると意匠権の効力の実効性を失わせる。そのため、侵害の予備的・幇助的行為のうち、直接侵害を誘発する蓋然性が極めて高い一定の行為を、意匠権の侵害とみなしている。
 ・例えば、カメラの意匠権に対する、そのカメラの製造用部品セットの製造などである。
 ・特101条2号に対応する規定は無く、「知りながら」という悪意が要件となることは無い。意匠権は類似範囲にも効力が及び、部分意匠制度が設けられていることから、専用品以外に間接侵害の成立範囲を拡張する必要性が乏しいからである。


第一号

 業として、登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品の製造にのみ用いる物の生産、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為

 ・意匠法の保護対象である物品に含まれないプログラム等が含まれるのは、侵害物品を製造するための工作機用プログラム等が含まれ得るためである。
 ・意匠法では、専用品のみが間接侵害の対象となる。


第二号

 登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品を業としての譲渡、貸渡し又は輸出のために所持する行為

 ・侵害物品を譲渡等又は輸出する行為は、事後的な侵害防止措置が困難になる蓋然性の高い行為である。そのため、これらを目的として所持する行為を侵害とみなすことにより、侵害行為禁止の実効性を高めるとともに、侵害物品拡散の抑止を図っている。

意匠法39条(損害の額の推定等)

第一項

 意匠権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の意匠権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した物品を譲渡したときは、その譲渡した物品の数量(以下この項において「譲渡数量」という。)に、意匠権者又は専用実施権者がその侵害の行為がなければ販売することができた物品の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、意匠権者又は専用実施権者の実施の能力に応じた額を超えない限度において、意匠権者又は専用実施権者が受けた損害の額とすることができる。ただし、譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を意匠権者又は専用実施権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。

第二項

 意匠権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の意匠権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、意匠権者又は専用実施権者が受けた損害の額と推定する。

第三項

 意匠権者又は専用実施権者は、故意又は過失により自己の意匠権又は専用実施権を侵害した者に対し、その登録意匠又はこれに類似する意匠の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。

第四項

 前項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、意匠権又は専用実施権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかつたときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。

意匠法40条(過失の推定)

 他人の意匠権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があつたものと推定する。ただし、第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠に係る意匠権又は専用実施権の侵害については、この限りでない。

 ・秘密意匠の場合は、一般原則に従って権利者が過失を立証する。秘密意匠の内容は一般に公開されないので、過失があったと推定するのは酷であるからである。
 ・秘密期間中の実施であり且つ警告前の侵害であっても、権利者が立証すれば、過失が認定される場合がある。


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