意匠法26条-30条
初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
以下、
太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。
意匠法26条(他人の登録意匠等との関係)
第一項
意匠権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その登録意匠がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の登録意匠若しくはこれに類似する意匠、特許発明若しくは登録実用新案を利用するものであるとき、又はその意匠権のうち登録意匠に係る部分がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の特許権、実用新案権若しくは商標権若しくはその意匠登録出願の日前に生じた他人の著作権と抵触するときは、業としてその登録意匠の実施をすることができない。
・他人のハンドルの意匠に対する、当該ハンドルを利用した自転車の意匠権が該当する。また、先願が構成物品に係る意匠であり、後願がその構成物品を含む組物の意匠の場合も該当する。
・登録意匠と他人の意匠権との抵触については規定されていない。過誤登録された場合は、無効審判で調整すべきだからである。対して、類似範囲同士が重なる場合は、抵触関係が成立し先願者のみが実施できる。類似範囲が重なる場合であっても両者が登録されるからである。なお、先願者は存続期間満了後に法定通常実施権を有する。
・商標権との利用関係はない。また、著作権との抵触が規定されているが、後願の登録意匠が先発生の著作物と別個独立に創作されたものである場合は、同一形状であっても抵触関係は成立しない。つまり、登録意匠が先発生に係る著作権の対象となる著作物を無断で複製したものである場合に抵触が生じる。よって、単に酷似しているのみでは、抵触とはならない。
・意匠の利用とは、一方の意匠を実施すると他方の意匠を実施する関係にある場合をいう(@両者の物品が異なり、一方の物品が他方の物品の部品である場合。A両者の物品が同一であり、一方の意匠に形状、模様、色彩等を結合して、全体として別個の意匠とした場合。)。また、意匠中に他人の意匠の全部が、その特徴を破壊されることなく、且つ、他の部分と区別しうる態様において存在することを要し、混然一体となって意匠中の他人の意匠を区別できないときは、利用関係の成立は否定される。抵触とは、2つの権利が重複し、どちらの権利を実施しても他方の権利内容を全部実施することになる関係をいう。
・先願権利者の許諾を得られない時は、裁定を請求できる。
・部分意匠と後願に係る全体意匠とが非類似の場合であっても、全体意匠が部分意匠に係る部分の意匠と同一又は類似の意匠をそっくりそのまま取り入れている場合は、その他の部分に大きな相違があっても利用関係が類推適用されると解する。この場合に利用関係を否定すると、独創的と特徴のある部分を取り入れつつ意匠全体での侵害を避ける模倣を防止するという部分意匠制度の趣旨に反するからである。但し、先願の部分意匠の意匠権に係る物品と後願の全体意匠の意匠権に係る物品とが同じである場合、先願意匠は後願意匠を利用するものではないと解する。両物品の大きさは同程度であり、一般的に先願意匠が後願意匠をそっくりそのまま取り入れているという関係にないからである。
・先願に係る部分意匠の意匠権者が自己の意匠と同一又は類似の意匠を実施したとしても、後願意匠権を侵害しないと解する。先願意匠権の専用権が制限されるのは、先願優位の原則により重複する権利関係を調整する意26条の趣旨に反するからである。つまり、先願意匠権者には、自己の意匠権の抗弁権が認められる。但し、その他の部分によって全体の美感が大きく異なるような場合に、先願意匠権者が後願意匠を実施する場合、両意匠は非類似となり該抗弁権は否定される。
第二項
意匠権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その登録意匠に類似する意匠がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の登録意匠若しくはこれに類似する意匠、特許発明若しくは登録実用新案を利用するものであるとき、又はその意匠権のうち登録意匠に類似する意匠に係る部分がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の意匠権、特許権、実用新案権若しくは商標権若しくはその意匠登録出願の日前に生じた他人の著作権と抵触するときは、業としてその登録意匠に類似する意匠の実施をすることができない。
・類似する意匠まで含む。意匠権の効力は類似する意匠にまで及ぶからである。
・類似する意匠と他人の意匠権との抵触についても規定されている。
意匠法27条(専用実施権)
第一項
意匠権者は、その意匠権について専用実施権を設定することができる。ただし、本意匠又は関連意匠の意匠権についての専用実施権は、本意匠及びすべての関連意匠の意匠権について、同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる。
・関連意匠の専用実施権においては、設定された状態を維持しなければならない。重複部分について二以上の者に排他権が成立することは関連意匠制度の制度趣旨に反するからである。
・同一の範囲と類似の範囲にそれぞれ専用実施権を設定することはできない。重複部分について二以上の者に排他権が成立してしまうからである。
第二項
専用実施権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する。
第三項
本意匠の意匠権が第四十四条第四項の規定により消滅したとき、無効にすべき旨の審決が確定したとき、又は放棄されたときは、当該本意匠に係る関連意匠の意匠権についての専用実施権は、すべての関連意匠の意匠権について同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる。
・関連意匠であっても本意匠を放棄等することにより、本意匠とは別に関連意匠に専用実施権を設定することができる。
第四項
特許法第七十七条第三項 から第五項 まで(移転等)、第九十七条第二項(放棄)並びに第九十八条第一項第二号及び第二項(登録の効果)の規定は、専用実施権に準用する。
・実施の事業とともにする場合、特許権者の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、専用実施権を移転できる。
・専用実施権者の相続人がいない場合であっても、専用実施権は当然には消滅しない。
意匠法28条(通常実施権)
第一項
意匠権者は、その意匠権について他人に通常実施権を許諾することができる。
・通常実施権は債権的性質を備えるため、関連意匠のみに許諾することもできる。
第二項
通常実施権者は、この法律の規定により又は設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施をする権利を有する。
第三項
特許法第七十三条第一項 (共有)、第九十七条第三項(放棄)及び第九十九条(登録の効果)の規定は、通常実施権に準用する。この場合において、同条第二項中「第七十九条」とあるのは、「意匠法第二十九条若しくは第二十九条の二」と読み替えるものとする。
・通常実施権が共有に係るときは他の共有者の同意が無ければ実施できない。
意匠法29条(先使用による通常実施権)
意匠登録出願に係る意匠を知らないで自らその意匠若しくはこれに類似する意匠の創作をし、又は意匠登録出願に係る意匠を知らないでその意匠若しくはこれに類似する意匠の創作をした者から知得して、意匠登録出願の際(第九条の二の規定により、又は第十七条の三第一項(第五十条第一項(第五十七条第一項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定により、その意匠登録出願が手続補正書を提出した時にしたものとみなされたときは、もとの意匠登録出願の際又は手続補正書を提出した際)現に日本国内においてその意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている意匠及び事業の目的の範囲内において、その意匠登録出願に係る意匠権について通常実施権を有する。
・補正後の新出願の場合は、もとの意匠登録出願の際又は手続補正書を提出した際のいずれかで要件を満たせば通常実施権が認められる。
・実施又は実施の準備をしている意匠そのものにのみ通常実施権が認められ、実施又は実施の準備をしている意匠に類似する意匠には認められない。なお、対価は不要である。
意匠法29条の2(先出願による通常実施権)
第一項
意匠登録出願に係る意匠を知らないで自らその意匠若しくはこれに類似する意匠の創作をし、又は意匠登録出願に係る意匠を知らないでその意匠若しくはこれに類似する意匠の創作をした者から知得して、意匠権の設定の登録の際現に日本国内においてその意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者(前条に該当する者を除く。)は、次の各号のいずれにも該当する場合に限り、その実施又は準備をしている意匠及び事業の目的の範囲内において、その意匠登録出願に係る意匠権について通常実施権を有する。
・拒絶確定出願に類似する後願が登録され、先願の拒絶確定出願に係る意匠の実施が後発的に制限され、その実施者が不測の損害を被る場合がありうる。このような問題に対応するために、一定要件下で拒絶確定出願の出願人に通常実施権を認めることとした。また、先使用権が認められない場合に、後願意匠の登録により先願の実施が後発的に制限されて実施者に不測の損害を与えるからである。なお、対価は不要である。
・先使用の場合が除かれるのは、複数の実施権が認められることとした場合、後願意匠権者の権利を不当に制約しかねないからである。
・本条は、後願の出願から設定登録の間に開始した実施を対象とするものである。出願前の実施に対しては、先使用権で対応する。
第一号
その意匠登録出願の日前に、自らその意匠又はこれに類似する意匠について意匠登録出願をし、当該意匠登録出願に係る意匠の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者であること。
・自己が出願した意匠に類似する意匠の範囲を実施していても、該当しない。
・後願との間を規定しているのみなので、先願により拒絶された後願出願人には通常実施権が認められない。
第二号
前号の自らした意匠登録出願について、その意匠登録出願に係る意匠が第三条第一項各号の一に該当し、拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定した者であること。
・自らは意匠登録を受けられないが、他人の許諾を得ることなく実施可能であり、後願登録意匠により侵害とはされないとの期待権を保護するためである。
・拒絶の理由となる先行文献が自己の出願であっても適用となる。
・新規性がないことにより拒絶された場合に限る。よって、創作非容易性違反で拒絶された場合は、通常実施権が発生しない。
意匠法30条(次回追加)
第一項
次の各号のいずれかに該当する者であつて、意匠登録無効審判の請求の登録前に、意匠登録が第四十八条第一項各号のいずれかに該当することを知らないで、日本国内において当該意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をしているもの又はその事業の準備をしているものは、その実施又は準備をしている意匠及び事業の目的の範囲内において、当該意匠権又はその意匠登録を無効にした際現に存する専用実施権について通常実施権を有する。
第一号
同一又は類似の意匠についての二以上の意匠登録のうち、その一を無効にした場合における原意匠権者
・先願か否かは問わない。
第二号
意匠登録を無効にして同一又は類似の意匠について正当権利者に意匠登録をした場合における原意匠権者
第三号
前二号に掲げる場合において、意匠登録無効審判の請求の登録の際現にその無効にした意匠登録に係る意匠権についての専用実施権又はその意匠権若しくは専用実施権についての第二十八条第三項において準用する特許法第九十九条第一項 の効力を有する通常実施権を有する者
第二項
当該意匠権者又は専用実施権者は、前項の規定により通常実施権を有する者から相当の対価を受ける権利を有する。
参考書・基本書
試験対策・勉強法
改正・判例解説
短答試験
過去問
論文試験
選択科目
選択科目の免除
口述試験
転職
リンク
メールはこちら
「独学の弁理士講座」TOPへ戻る