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意匠法26条-28条

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

意匠法26条(他人の登録意匠等との関係)

第一項

 意匠権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その登録意匠がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の登録意匠若しくはこれに類似する意匠、特許発明若しくは登録実用新案を利用するものであるとき、又はその意匠権のうち登録意匠に係る部分がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の特許権、実用新案権若しくは商標権若しくはその意匠登録出願の日前に生じた他人の著作権と抵触するときは、業としてその登録意匠の実施をすることができない。

 ・他人のハンドルの意匠に対する、当該ハンドルを利用した自転車の意匠権が該当する。また、先願が構成物品に係る意匠であり、後願がその構成物品を含む組物の意匠の場合も該当する。
 ・意匠権が特許権又は実用新案権と抵触する場合とは、ある物品の形状が技術的効果もあると同時に美的でもあり、技術的効果の面に特許権又は実用新案権が設定され、美的な面に意匠権が設定された場合である。
 ・他人の意匠権との抵触については規定されていない。過誤登録された場合は、無効審判で調整すべきだからである。対して、類似範囲同士が重なる場合は、抵触関係が成立し先願者のみが実施できる。類似範囲が重なる場合であっても両者が登録されるからである。なお、先願者は存続期間満了後に法定通常実施権を有する。
 ・商標権との利用関係はない。また、著作権との抵触が規定されているが、後願の登録意匠が先発生の著作物と別個独立に創作されたものである場合は、同一形状であっても抵触関係は成立しない。つまり、登録意匠が先発生に係る著作権の対象となる著作物を無断で複製したものである場合(例えば、著作権の対象である彫刻を置物として用いたとき)に抵触が生じ、単に酷似しているのみでは抵触とはならない。
 ・意匠の利用とは、一方の意匠を実施すると他方の意匠を実施する関係にある場合をいう(@両者の物品が異なり一方の物品が他方の物品の部品である場合、A両者の物品が同一であり一方の意匠に形状、模様、色彩等を結合して全体として別個の意匠とした場合)。また、意匠中に他人の意匠の全部が、その特徴を破壊されることなく、且つ、他の部分と区別しうる態様において存在することを要し、混然一体となって区別できないときは、利用関係の成立が否定される。抵触とは、2つの権利が重複し、どちらの権利を実施しても他方の権利内容を全部実施することになる関係をいう。
 ・先願権利者の許諾を得られない時は、裁定を請求できる。
 ・部分意匠と後願に係る全体意匠とが非類似の場合であっても、全体意匠が部分意匠に係る部分の意匠と同一又は類似の意匠をそっくりそのまま取り入れていれば、その他の部分に大きな相違があっても利用関係が類推適用されると解する。この場合に利用関係を否定すると、独創的と特徴のある部分を取り入れつつ意匠全体での侵害を避ける模倣を防止するという部分意匠制度の趣旨に反するからである。但し、先願の部分意匠の意匠権に係る物品と後願の全体意匠の意匠権に係る物品とが同じである場合、先願意匠は後願意匠を利用するものではないと解する。両物品の大きさは同程度であり、一般的に先願意匠が後願意匠をそっくりそのまま取り入れているという関係にないからである。
 ・先願に係る部分意匠の意匠権者が自己の意匠と同一又は類似の意匠を実施したとしても、後願意匠権を侵害しないと解する。先願意匠権の専用権が制限されるのは、先願優位の原則により重複する権利関係を調整する意26条の趣旨に反するからである。つまり、先願意匠権者には、自己の意匠権の抗弁権が認められる。但し、その他の部分によって全体の美感が大きく異なるような場合に、先願意匠権者が後願意匠を実施する場合、両意匠は非類似となり該抗弁権は否定される。


第二項

 意匠権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その登録意匠に類似する意匠がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の登録意匠若しくはこれに類似する意匠、特許発明若しくは登録実用新案を利用するものであるとき、又はその意匠権のうち登録意匠に類似する意匠に係る部分がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の意匠権、特許権、実用新案権若しくは商標権若しくはその意匠登録出願の日前に生じた他人の著作権と抵触するときは、業としてその登録意匠に類似する意匠の実施をすることができない。

 ・類似する意匠まで含む。意匠権の効力は類似する意匠にまで及ぶからである。
 ・類似する意匠と他人の意匠権との抵触についても規定されている。


意匠法26条の2(意匠権の移転の特例)

第一項

 意匠登録が第四十八条第一項第一号に規定する要件に該当するとき(その意匠登録が第十五条第一項において準用する特許法第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は第四十八条第一項第三号に規定する要件に該当するときは、当該意匠登録に係る意匠について意匠登録を受ける権利を有する者は、経済産業省令で定めるところにより、その意匠権者に対し、当該意匠権の移転を請求することができる。

 ・H23改正により、移転請求制度が導入された。

第二項

 本意匠又は関連意匠の意匠権についての前項の規定による請求は、本意匠又は関連意匠の意匠権のいずれかの消滅後は、当該消滅した意匠権が第四十九条の規定により初めから存在しなかつたものとみなされたときを除き、することができない。

 ・本意匠及び関連意匠の意匠権は、分離して移転することができないため、基本的には二以上の者に重複した権利の登録がされることはない。しかし、その中に放棄されて消滅した意匠権がある場合は、放棄された意匠権が存在していたときの意匠権者は冒認者等のままである。そのため、過去分について重複した意匠権の登録が生じないように、本意匠又は関連意匠の意匠権のいずれかの消滅後は、初めから存在しなかったとみなされたときを除き、移転請求ができないこととした。

第三項

 第一項の規定による請求に基づく意匠権の移転の登録があつたときは、その意匠権は、初めから当該登録を受けた者に帰属していたものとみなす。

第四項

 共有に係る意匠権について第一項の規定による請求に基づきその持分を移転する場合においては、第三十六条において準用する特許法第七十三条第一項の規定は、適用しない。

意匠法27条(専用実施権)

第一項

 意匠権者は、その意匠権について専用実施権を設定することができる。ただし、本意匠又は関連意匠の意匠権についての専用実施権は、本意匠及びすべての関連意匠の意匠権について、同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる。

 ・本意匠又は関連意匠の意匠権の専用実施権は、本意匠及びすべての関連意匠の意匠権について、同一の者に対して同時に設定する場合にのみ設定でき、設定された状態を維持しなければならない。重複部分について二以上の者に排他権が成立することは関連意匠制度の制度趣旨に反するからである。
 ・同一の範囲と類似の範囲にそれぞれ専用実施権を設定することはできない。重複部分について二以上の者に排他権が成立してしまうからである。


第二項

 専用実施権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する。

第三項

 本意匠の意匠権が第四十四条第四項の規定により消滅したとき、無効にすべき旨の審決が確定したとき、又は放棄されたときは、当該本意匠に係る関連意匠の意匠権についての専用実施権は、すべての関連意匠の意匠権について同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる。

 ・関連意匠であっても本意匠を放棄等することにより、本意匠とは別に関連意匠に専用実施権を設定することができる。

第四項

 特許法第七十七条第三項 から第五項 まで(移転等)、第九十七条第二項(放棄)並びに第九十八条第一項第二号及び第二項(登録の効果)の規定は、専用実施権に準用する。

 ・実施の事業とともにする場合、特許権者の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、専用実施権を移転できる。
 ・専用実施権者の相続人がいない場合であっても、専用実施権は当然には消滅しない。


意匠法28条(通常実施権)

第一項

 意匠権者は、その意匠権について他人に通常実施権を許諾することができる。

 ・通常実施権は債権的性質を備えるため、関連意匠のみに許諾することもできる。

第二項

 通常実施権者は、この法律の規定により又は設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施をする権利を有する。

第三項

 特許法第七十三条第一項 (共有)、第九十七条第三項(放棄)及び第九十九条(通常実施権の対抗力)の規定は、通常実施権に準用する。

 ・通常実施権が共有に係るときは他の共有者の同意が無ければ実施できない。

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