よろしければ、ご意見、ご質問等をこちらへお寄せ下さい
独学の弁理士講座掲示板

メールはこちら



当サイトは
 リンクフリーです。

All Rights Reserved.




意匠法21条-25条

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

意匠法21条(存続期間)

第一項

 意匠権(関連意匠の意匠権を除く。)の存続期間は、設定の登録の日から二十年をもつて終了する。

 ・発明の場合は長期間の独占権を与えると、技術開発を通じた技術の向上を阻害するおそれがある。これに対し意匠は、審美的な観点から保護されるため、存続期間を長くしても弊害は比較的小さい。さらに、ロングライフ商品やリバイバル・ブームによって再度商品化されるものなど、魅力あるデザインは商品の価値の長期的な維持に重要である。よって、H18年改正により存続期間を20年に延長した。なお、意匠権は、技術ではなく美的な物品のデザインに対して与えられる権利であることから、権利を早期に手放すことを促進する政策的な必要性は、特許権に比較して強くはない。

第二項

 関連意匠の意匠権の存続期間は、その本意匠の意匠権の設定の登録の日から二十年をもつて終了する。

 ・本意匠と関連意匠とは重複部分が存在することから、権利の実質的延長が生じないようにするための規定である。
 ・本意匠が存続期間の満了以外の理由(放棄、登録料の不納、無効審決)で消滅した場合には、関連意匠の意匠権は存続する。関連意匠が本意匠との関係を除いて他の登録要件を満たしているからである。つまり、本意匠と関連意匠との整理が便宜的なものであり、各々の意匠が同等の創作的価値を有することを踏まえ、関連意匠同士の関連性は維持しつつ、関連意匠の意匠権は存続する。なお、存続することとなる関連意匠同士についても、それぞれの意匠が同等の創作価値を有していること、及び権利関係の安定性の確保を考慮して、本意匠を中心として設けられた制限関係を有したまま存続する。


意匠法22条(関連意匠の意匠権の移転)

第一項

 本意匠及びその関連意匠の意匠権は、分離して移転することができない。

 ・同一意匠権者のもとでのみ権利の重複を認める関連意匠制度の制度趣旨に反するからである。
 ・関連意匠については、移転の制限、専用実施権設定の制限がある。なお、通常実施権については制限がない。
 ・本意匠のみ又は関連意匠のみに質権を設定することはできない。質権が実行されることにより分離移転することになるからである。


第二項

 本意匠の意匠権が第四十四条第四項の規定により消滅したとき、無効にすべき旨の審決が確定したとき、又は放棄されたときは、当該本意匠に係る関連意匠の意匠権は、分離して移転することができない。

意匠法23条(意匠権の効力)

 意匠権者は、業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する。ただし、その意匠権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない。

 ・自己の登録意匠と類似する意匠が他人の登録意匠とも類似する場合であっても、先願優位の原則により先願意匠権者はその類似する意匠を実施できる。但し、後願意匠権者は実施できない。同日の場合は両者が実施できる。
 ・組物の意匠であっても、意匠権は分割移転できない。
 ・組物の構成物品のみに関して実施する行為は、侵害行為にあたらない。組物に係る意匠権は組物全体で一意匠を構成し、権利一体の原則により構成物品の実施には組物の意匠権の効力は及ばないからである。また、構成物品が当該組物にのみ用いられることは少なく、間接侵害にあたることはないと考えられる。
 ・外部から視認できない内部構造を実施するに過ぎない場合は、意匠権の侵害とはならない。意匠は物品の美的外観であるためである。
 ・動的意匠の特徴的な一形態が静的な意匠と同一又は類似する場合、形態が類似して意匠権の侵害を構成しうる。


意匠法24条(登録意匠の範囲等)

第一項

 登録意匠の範囲は、願書の記載及び願書に添附した図面に記載され又は願書に添附した写真、ひな形若しくは見本により現わされた意匠に基いて定めなければならない。

 ・願書の記載とは、「意匠に係る物品」(本欄の記載により意匠を構成する物品を特定する)、「意匠に係る物品の説明」(本欄の記載により意匠を構成する物品を特定する)、「意匠の説明」(図面等とともに物品の形態を特定する)の記載をいう。
 ・図面の記載等は、主として物品の形態を特定する。


第二項

 登録意匠とそれ以外の意匠が類似であるか否かの判断は、需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行うものとする。

 ・従来規定がなかったので、類似の範囲を明確にするため最高裁判例に基づいてH18年改正により設けられた。意3条1項3号は、意匠権の効力が登録意匠に類似する意匠、すなわち登録意匠に係る物品と同一又は類似の物品につき、一般需要者に対して登録意匠と類似の美感を生じせしめる意匠にも及ぶとされている。そのため、類否判断においては、意匠が需要者に起こさせる美感の共通性の有無に基づいて判断する。
 ・需要者とは、取引者及び需要者を意味する。最高裁判例上、類否判断の視点は一般需要者とされているが、当該判例以降、視点を取引者や需要者としている裁判例が多く存在することを考慮して、意匠法においては一般需要者ではなく「需要者」に起こさせる美観の共通性の有無に基づいて判断するものと規定した。
 ・意3条1項3号をはじめ、他の条項に規定されている類否判断についてもこの解釈が及ぶ。


意匠法25条

第一項

 登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲については、特許庁に対し、判定を求めることができる。

 ・類似する意匠の範囲でも判定を求めることができる。意匠権の効力は類似範囲にまで及ぶからである。

第二項

 特許庁長官は、前項の規定による求があつたときは、三名の審判官を指定して、その判定をさせなければならない。

第三項

 特許法第七十一条第三項 及び第四項 の規定は、第一項の判定に準用する。

意匠法25条の2

第一項

 特許庁長官は、裁判所から登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲について鑑定の嘱託があつたときは、三名の審判官を指定して、その鑑定をさせなければならない。

第二項

 特許法第七十一条の二第二項 の規定は、前項の鑑定の嘱託に準用する。

オリジナルレジュメ

 参考書・基本書  試験対策・勉強法  改正・判例解説  短答試験  過去問  論文試験  選択科目  選択科目の免除  口述試験  転職  リンク  メールはこちら





 「独学の弁理士講座」TOPへ戻る inserted by FC2 system