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意匠法10条-10条の2

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

意匠法10条(関連意匠)

第一項

 意匠登録出願人は、自己の意匠登録出願に係る意匠又は自己の登録意匠のうちから選択した一の意匠(以下「本意匠」という。)に類似する意匠(以下「関連意匠」という。)については、当該関連意匠の意匠登録出願の日(第十五条において準用する特許法第四十三条第一項 又は第四十三条の二第一項 若しくは第二項 の規定による優先権の主張を伴う意匠登録出願にあつては、最初の出願若しくは千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日。以下この項において同じ。)がその本意匠の意匠登録出願の日以後であつて、第二十条第三項の規定によりその本意匠の意匠登録出願が掲載された意匠公報(同条第四項の規定により同条第三項第四号に掲げる事項が掲載されたものを除く。)の発行の日前である場合に限り、第九条第一項又は第二項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができる。

 ・従来の類似意匠制度においては、本意匠の意匠権の侵害の成否としてのみ訴訟が進められ、本意匠か類似意匠かにより権利の効力範囲に差異があるという問題があった。そこで、一のデザイン・コンセプトから同時期に創作されたバリエーションの意匠について、同等の価値を有するものとして保護し、各々の意匠について権利行使することを可能とする関連意匠制度を設けた。
 ・近年は、当初製品投入後に需要動向を見ながら追加的にデザイン・バリエーションを開発する等、デザイン戦略がより機動化・多様化しつつある。また、同日出願のみを認める制度下では、市場投入が予測されるデザイン・バリエーションのすべてについての図面等を当初出願時に準備しなければならず、柔軟な出願方式に対応できなかった。そのため、H18年改正により、本意匠の公報発行の前日までの間に出願された関連意匠の登録を認めることとした。
 ・秘密意匠も本意匠の公報発行の前日までの間に出願された場合に、関連意匠の登録を認める。秘密期間内の関連意匠出願を許容した場合、他人の出願意匠や公知意匠との間で権利関係が抵触するおそれがあるからである。よって、本意匠の公報発行後に出願された関連意匠出願は、秘密期間内であっても意9条1項の規定により拒絶される。
 ・意匠登録後に本意匠と関連意匠が類似していないとして無効となるのは意匠権者にとって酷であるので、本項違反は拒絶理由ではあるが、無効理由とはならない。
 ・関連意匠の放棄に関して制限はない。
 ・出願人の意思により本意匠が決まる。また、本意匠の出願において、本意匠である旨の表示をする必要はなく、関連意匠の出願において「本意匠の表示」欄を設けて本意匠の番号を記載する。
 ・関連意匠において、本意匠の表示の削除又は変更をする場合は、補正で対応する。通常の出願を関連意匠出願にする場合は、「本意匠の表示」欄を設ける補正をする。
 ・分割、変更、補正却下後の新出願については、遡及日を基準に判断する。また、パリ優先の場合は第一国出願日を基準に判断する。
 ・関連意匠の出願料及び登録料は通常の出願と同じである。
 ・関連意匠において、本意匠と関連意匠とが類似していれば、異なる名称の物品でも良い。
 ・本意匠のみに拒絶理由がある場合に関連意匠を通常の意匠に変更しても、関連意匠が先に登録されることはない。本意匠が先願になるからである。但し、関連意匠を通常の意匠に変更すると共に、本意匠を当該通常の意匠を本意匠とする関連意匠に変更すれば、先に登録される。
 ・本意匠の拒絶の査定又は審決が確定したとき、結果を待っていた関連意匠は、本意匠が存在しなくなったために関連意匠として登録を受けることができないものとなるので、意10条1項により拒絶される。なお、願書の本意匠の表示を削除することによって登録を受け得る。
 ・部分意匠は、部分意匠の意匠登録出願同士においてその適用について判断する。
 ・登録意匠に類似する意匠であっても良い。
 ・出願人同一の審査における判断時は、査定時である。但し、設定登録時においても同一人であることを要する。なお、本意匠が設定登録されている場合は、その意匠権者と同一であることを要する。
 ・関連意匠と本意匠とが同一である場合は、関連意匠にできない。

第二項

 本意匠の意匠権について専用実施権が設定されているときは、その本意匠に係る関連意匠については、前項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。

 ・本意匠及び関連意匠のうちの一部の意匠権に専用実施権が設定された場合や、別々の者に専用実施権が設定された場合は、専用実施権の重複部分について二以上の者に排他的権利が成立することになる。このような関連意匠の後日出願を認めると、専用実施権を設定した後にこれに反する出願がなされる可能性が高まるので、既に専用実施権を設定した本意匠についての関連意匠は登録できない旨を規定した。
 ・本項違反は無効理由となる。


第三項

 第一項の規定により意匠登録を受ける関連意匠にのみ類似する意匠については、意匠登録を受けることができない。

 ・類似の無限連鎖を回避するためである。また、拒絶理由であり無効理由でもある。

第四項

 本意匠に係る二以上の関連意匠の意匠登録出願があつたときは、これらの関連意匠については、第九条第一項又は第二項の規定は、適用しない。

 ・関連意匠同士についても、先後願の規定は適用されない。

意匠法10条の2(意匠登録出願の分割)

第一項

 意匠登録出願人は、意匠登録出願が審査、審判又は再審に係属している場合に限り、二以上の意匠を包含する意匠登録出願の一部を一又は二以上の新たな意匠登録出願とすることができる。

 ・商標法とは異なり、拒絶審決取消訴訟係属中に分割はできない。意匠の分割は商標法条約の制約を受けず、訴訟継続中に分割を認める実益もほとんどないからである。よって、分割は補正可能期間(審査、審判又は再審係属時)にしかできない。また、出願の放棄、取下げ、却下又は査定若しくは審決の確定の後(再審に係属している場合を除く)は、分割できない。
 ・意匠法は、一出願一意匠の原則を採用するが、先願主義の下、出願を急ぐあまりに本原則に違反する場合もある。このような場合に、何ら救済手段を与えないのでは出願人に酷であるため、分割が認められている。具体的には、一意匠多物品、一物品多形態、多物品多形態、組物を構成しない多物品を組物として出願した場合、組物の意匠に異種物品を加えて出願した場合、組物が全体として統一性がない場合がある。
 ・複数物品からなる意匠が組物の要件を満たしている場合は適法な分割とは認めず、要件を満たさない場合は分割を認める。つまり、組物の意匠であっても、全体として統一がない場合は構成物品の一部を分割できる。
 ・拒絶査定後かつ審判請求前の期間は、審査又は審判に係属している期間に該当しないので、この期間に分割することはできない。なお、審判請求後は分割できる。
 ・甲が創作した意匠Aと乙が創作した意匠Bを含む意匠登録出願を分割出願する場合であっても、甲と乙が共同で分割出願しなければならない。
 ・分離した二以上の部分を含む部分意匠の一部を、部品の全体意匠とする場合や、二以上の部分を含む新たな全体意匠とした場合、適法な分割とは認めず、分割時の新たな出願として取り扱われる。なお、分離した二以上の部分を含む部分意匠の一部について部品意匠の分割出願を行う場合、新たな部分意匠の出願とすることができる。
 ・元の出願人から新たな出願人へ意匠登録を受ける権利の承継が適法になされている場合、同一出願人であると認める。
 ・全体意匠の一部を部分意匠又は部品の意匠として分割出願することはできない。本項の二以上の意匠とは、二以上の物品及び/又は二以上の意匠が記載されていることを意味し、一物品及び一意匠のみが記載されている出願から分割出願を行うことはできないためである。
 ・分割出願に係る意匠は、もとの出願の二以上の意匠のうちいずれかと同一であることを要する。
 ・原出願の出願番号等を明記して新たな出願を行うことを要する。原出願を特定すると共に、出願の意思を明確にするためである。なお、原出願から分割した意匠を削除すると共に、原出願が組物であれば、願書の意匠に係る物品の欄を原出願に残された意匠に係る物品が属する別表第一の物品区分に変更する補正を要する。
 ・願書に添付された図面に使用状態を示す参考図が含まれる場合に、その参考図に出願に係る意匠とは別の意匠が記載されていたとしても、当該別の意匠を分割出願することはできない。


第二項

 前項の規定による意匠登録出願の分割があつたときは、新たな意匠登録出願は、もとの意匠登録出願の時にしたものとみなす。ただし、第四条第三項並びに第十五条第一項において準用する特許法第四十三条第一項 及び第二項 (第十五条第一項において準用する同法第四十三条の二第三項 において準用する場合を含む。)の規定の適用については、この限りでない。

 ・分割出願と同時に秘密意匠の請求はできない。但し、登録料の納付と同時に秘密意匠の請求ができる。

第三項

 第一項に規定する新たな意匠登録出願をする場合には、もとの意匠登録出願について提出された書面又は書類であつて、新たな意匠登録出願について第四条第三項又は第十五条第一項において準用する特許法第四十三条第一項 及び第二項 (第十五条第一項において準用する同法第四十三条の二第三項 において準用する場合を含む。)の規定により提出しなければならないものは、当該新たな意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出されたものとみなす。

 ・分割出願においては、親出願の際に提出した書類の一部が提出擬制される。また、願書に提出した旨の表示をする必要はない。
 ・新規性の喪失の例外の規定の適用を受けようとする場合の手続きに必要な書面、パリ条約による優先権を主張しようとする場合の手続きに必要な書面は、新たな意匠登録出願をすると同時に特許庁長官に提出されたものとみなす。

オリジナルレジュメ

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