意匠法9条-9条の2
初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
以下、
太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。
意匠法9条(先願)
第一項
同一又は類似の意匠について異なつた日に二以上の意匠登録出願があつたときは、最先の意匠登録出願人のみがその意匠について意匠登録を受けることができる。
・意9条1項又は2項の規定は、全体意匠の意匠登録出願同士又は部分意匠の意匠登録出願同士(意匠登録を受けようとする方法及び対象が同じ意匠登録出願同士)においてその適用について判断する。
・二以上の意匠登録出願の類似範囲が互いに重なる場合は、いずれも登録され、意26条で調整される。
・ある意匠と他の意匠の一部との間においては、同一又は類似を判断しない。
・後の出願が、二以上の登録意匠に類似する場合、それぞれが同一人の出願であっても、これら先願登録意匠を理由として拒絶される。
・後の出願が関連意匠出願でなくとも、最先の出願を本意匠とする補正により登録されうる。
・意匠公報の発行の日と同日の意匠登録出願は、本項により拒絶される。
・共同出願違反が先願の地位を有するかは論点であるが、通説では先願の地位を有しない。
・無効となった場合であっても先願の地位は残る。
第二項
同一又は類似の意匠について同日に二以上の意匠登録出願があつたときは、意匠登録出願人の協議により定めた一の意匠登録出願人のみがその意匠について意匠登録を受けることができる。協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、いずれも、その意匠について意匠登録を受けることができない。
・本意匠イと関連意匠ロとがある場合であって、イにのみ拒絶理由がある場合は、ロを本意匠とすることでイの審査中であってもロの登録を受けうる。
・同日出願の一方が先に登録されている場合、後に他方の出願の本条違反による拒絶査定が確定することにより、先に登録された出願に無効理由が発生する。
第三項
意匠登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、又は意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したときは、その意匠登録出願は、前二項の規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。ただし、その意匠登録出願について前項後段の規定に該当することにより拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、この限りでない。
・協議不調により拒絶された場合は、先願の地位を有し、公報に掲載されることで、拒絶理由のブラックボックス化が防がれる。
・先願がある場合でも、先願が拒絶された場合は先願の地位を失うので、後願が登録される。
・協議不調により先願が拒絶された場合、類似する後願は、同一人の出願であっても拒絶される。
・拒絶査定が確定した場合、原則的には先願の地位が残らず公開もされないので、再出願により登録され得る。
第四項
特許庁長官は、第二項の場合は、相当の期間を指定して、同項の協議をしてその結果を届け出るべき旨を意匠登録出願人に命じなければならない。
・届出があった場合でも、出願取下げ又は出願放棄の手続が行われない場合又は複数の協議指令に対する協議の結果の届出の内容が相互に矛盾する場合は協議が成立しなかったものと認め、拒絶の理由を通知する。
・同一人による意匠登録出願である場合、協議指令と同時に拒絶の理由を通知する。同一人の場合には、協議のための時間は必要ないと認められるためである。
・関連意匠の場合であって、協議が成立しなかったと認められるもの:
@存在しない意匠を本意匠として選択する届出
A非類似の意匠、意匠登録出願人が異なる意匠登録出願に係る意匠のいずれかの意匠を本意匠として選択する届出
B関連意匠の意匠登録出願に係る意匠を本意匠として選択する届出
C複数の意匠を本意匠として選択する届出
第五項
特許庁長官は、前項の規定により指定した期間内に同項の規定による届出がないときは、第二項の協議が成立しなかつたものとみなすことができる。
・指定期間を経過しても協議の結果の届出がない場合であっても、本意匠あるいはその関連意匠とする補正が行われていたり、一方が既に取下、放棄されているものについては、協議の理由が解消しているので協議が成立しなかったものとはみなさない。
意匠法9条の2(願書の記載又は図面等の補正と要旨変更)
願書の記載(第六条第一項第一号及び第二号に掲げる事項並びに同条第二項の規定により記載した事項を除く。第十七条の二第一項及び第二十四条第一項において同じ。)又は願書に添付した図面、写真、ひな形若しくは見本についてした補正がこれらの要旨を変更するものと意匠権の設定の登録があつた後に認められたときは、その意匠登録出願は、その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなす。
・特許法と異なり、意匠法では訂正審判の制度が無いため、要旨変更補正を無効理由にすると権利者に酷だからである。なお、出願日が繰り下がった結果、無効理由に該当する場合は、審判によって無効にされる。
・一の事件(侵害訴訟等)における要旨変更の認定は、他の事件(別の侵害訴訟等)の裁判官の認定を拘束しない。
・要旨変更が認められない願書の記載とは、「意匠に係る物品」、「意匠に係る物品の説明」及び「意匠の説明」であり、出願人の氏名等、創作者の氏名等及び写真、ひな形又は見本の別は、要旨変更の判断対象にならない。
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