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意匠法1条-2条1項

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

意匠法1条(目的)

 この法律は、意匠の保護及び利用を図ることにより、意匠の創作を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。

 ・優れた意匠を商品に応用することによって需要が増加し、産業の発達が実現される場合や、技術的に優れた意匠によって技術の進歩ひいては産業の発達が実現される場合がある。

意匠法2条(定義等)

第一項

 この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。第八条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。

 ・意匠として認められるためには、物品性、形状・模様・色彩性、視覚性、審美性の要件を満たすことを要する。つまり、意匠は、@物品を離れて存在せず(物品性)、A形状、模様、色彩性又はこれらの結合であり(形状、模様、色彩性)、B視覚を通じて(視覚性)、C美感を起こさせる(審美性)。
 ・美感とは、視覚を通じて起こる美に対する感覚をいう。また、物品とは、有体物である動産を指す。また、形状とは、外部から観察できる物品の外形をいう。
 ・H10年改正により部分意匠制度を導入したため、物品の部分も法上の物品に含まれる。独創的で特徴ある部分を取り入れつつ意匠全体で侵害を避ける巧妙な模倣が増加し、十分にその投資を保護できなかったからである。よって、部分が互換性を有しており且つ独立の商品として取引される場合は、物品と認められる。
 ・組物の意匠にかかる部分意匠は認められない(本項かっこ書)。組物の意匠の趣旨及び目的は、組物全体として統一ある美感の保護だからである。具体的には、組物の構成物品又はその構成物品の部分について、組み物の部分意匠として意匠登録を受けることはできない。
 ・部分意匠は、「物品の部分の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」であると定義される。
 ・部分意匠の実施とは、部品の実施ではなく全体の中の部分の実施である。従って、部品の意匠と部分意匠とが並存した場合は部品の意匠を部分意匠が利用する関係となる。なお、部品のみの実施は部分意匠に対する間接侵害となり、全体の中の部分の実施が直接侵害となる。
 ・形状を特定できないので、物品の部分として物品を離れた模様のみは、意匠法上の保護対象とはならない。模様を有する部分意匠は、物品の部分に係る形状と模様の結合として出願しなければならない。
 ・有体物とは、固体等のように空間の一部を占める有形的な形状等でとらえられるものをいう。アイスクリーム、為替用手形、ICチップ、光ファイバー、工業用ダイヤモンドは物品と認められる。
 ・動産とは、不動産以外の物、土地及びその定着物以外の物をいう。但し、使用時には不動産となるものであっても、販売時に動産として扱われる、門柱、水門、石灯籠、墓石、家屋、滑り台、鉄塔、組み立て橋梁、組み立てバンガロー等は物品と認められる。
 ・液体、気体、流動体、粉状物の集合等は定形的な形をもたないため、法上の物品ではない。但し、集合したものが特定の固定した形態を有する、角砂糖等や、液体を含んでいても一定の形状、模様を保つ水玉置物等は、物品となり得る。
 ・現実に取引されて初めて物品の需要を喚起し、産業の発達を図ることができるため、独立取引性が求められる。
 ・瓶に刻印された文字の部分、絵葉書の絵の部分、Tシャツのアップリケの部分は、物品に該当する。
 ・形態とは、形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合のことをいい、物品と混然一体となるものである。
 ・物品がハンカチの場合、ハンカチを結んで作った花の形態は物品自体の形態とは認められない。しかし、物品が置物の場合で、ハンカチで作った置物は物品の形態と認められる。
 ・部分意匠の意匠に係る物品が、@意匠に係る物品が意匠法の対象とする「靴下」であって、「意匠登録を受けようとする部分」が意匠法の対象とする物品とは認められない「靴下のかかと部分」であるもの、A意匠に係る物品が「包装用容器」であって、「意匠登録を受けようとする部分」が意匠法の対象とする物品と認められる「包装用容器の蓋」の部分であるものは、意匠法の対象とする物品と認められる。他方、@「意匠登録を受けようとする部分」として模様のみを図面に表し、部分意匠の意匠に係る物品を「繊維製品に表す模様」としたものは、物品と認められない。
 ・部分意匠の全体の形態は、視覚に訴えるものでなければならない。@全体の形態が意匠に係る物品の通常の取引状態において外部から視認できないもの、A全体の形態が微細であるために、肉眼によってはその形態を認識することができないものは、視覚に訴えるものと認められない。
 ・「意匠登録を受けようとする部分」が稜線のみのものは、一定の範囲を占める部分に該当すると認められない。稜線は面積を持たないものであるためである。
 ・部分意匠の意匠に係る物品全体の形態のシルエットのみを表したもの(乗用自動車の側面を投影したシルエットのみを表したもの等)は、一定の範囲を占める部分に該当すると認められない。意匠の外観の中に含まれる一つの閉じられた領域とは認められないためである。
 ・「意匠登録を受けようとする部分」が、他の意匠と対比する際に対比の対象となり得る意匠の創作の単位が表されていなければならない。
 ・部分意匠の具体的な内容が、@部分意匠の意匠に係る物品、A「意匠登録を受けようとする部分」の用途及び機能、B「意匠登録を受けようとする部分」の位置、大きさ、範囲、C「意匠登録を受けようとする部分」の形態、から直接的に導き出されなければならない。
 ・願書に「部分意匠」の欄の表示がない場合であっても、願書及び図面等によって、部分意匠に関するものであることが明らかな場合、境界線の表示がないことが作図上の誤記と認められ、願書及び図面等を総合的に判断すれば、境界を当然に導き出すことができる場合、は意匠が具体的なものと認められる。
 ・以下の場合は意匠が具体的なものと認められない。
 @部分意匠の意匠登録出願であるか、全体意匠の意匠登録出願であるか明らかでない場合
 A意匠に係る物品又は部分の具体的な用途及び機能が明らかでない場合
 B「意匠登録を受けようとする部分」の全体の形態が表されていない場合
 C「その他の部分」の全体の形態が表されていない場合
 D物品を認識するのに必要な最低限含まれていなければならない構成要素が明確に表されていない場合
 E「意匠登録を受けようとする部分」の形態が明らかでない場合(各図不一致、部分が一つの閉じられた領域でない、部分を一組の図面以外の図面のみにより特定している、図面において描き分けずに文章で部分を特定している等)
 F「その他の部分」の形態が明らかでない(物品全体の形態の中での位置、大きさ、範囲が具体的でない)場合
 G「意匠の説明」の欄に、部分がどのように特定されているかについての記載がない場合
 ・肉眼によって認識できないもの、例えば、粒状体の一単位などは意匠とは認められない。
 ・意匠は具体的形態として完成し、図面等に現されたときに完成する。


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