ピンク・レディー事件(平成21(受)2056)の概説

事件の概要

 本事件は、パブリシティ権の及ぶ範囲が争われた事件です。

 本事件においては、週刊誌に掲載された「ピンク・レディー de ダイエット」(振り付けを利用したダイエット法の解説)の記事中で使用された14枚の白黒写真が、原告(ピンク・レディー)側のパブリシティ権を侵害するか否かが争われました。※詳細は判例検索システムで判決文を検索して下さい。


[前提] パブリシティ権

 人の氏名、肖像等(以下、併せて「肖像等」という。)は、個人の人格の象徴であるから、当該個人は、人格権に由来するものとして、これをみだりに利用されない権利を有する(最高裁昭和58年(オ)第1311号)。


本事件の要点

 最高裁は、パブリシティ権は、肖像等それ自体の商業的価値に基づくものであるから、人格権に由来する権利の一内容を構成するものということができる。他方、肖像等に顧客吸引力を有する者は、社会の耳目を集めるなどして、その肖像等を時事報道、論説、創作物等に使用されることもあるのであって、その使用を正当な表現行為等として受忍すべき場合もある、と判断しました。

 そして、肖像等を無断で使用する行為は、 @肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し、 A商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付し、 B肖像等を商品等の広告として使用するなど、 専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に、パブリシティ権を侵害するものとして、不法行為法上違法となるという判断を示しました。

 そして、本件記事の内容は、ピンク・レディーそのものを紹介するものではなく、ピンク・レディーの曲の振り付けを利用したダイエット法につき、その効果を見出しに掲げ、これを解説するとともに、子供の頃にピンク・レディーの曲の振り付けをまねていたタレントの思い出等を紹介するというものである。そして、本件記事に使用された本件各写真は、約200頁の本件雑誌全体の3頁の中で使用されたにすぎない上、いずれも白黒写真であって、その大きさも、縦2.8p、横3.6pないし縦8p、横10p程度のものであったというのである。これらの事情に照らせば、本件各写真は、本件記事の内容を補足する目的で使用されたものというべきである。したがって、本件各写真を無断で雑誌に掲載する行為は、専ら肖像の有する顧客吸引力の利用を目的とするものとはいえず、不法行為法上違法であるということはできないとされました。

私見

 本判決が試験に出る可能性はないと思われます。よって、話のネタ程度に知っておけばよいと思います。

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