弁理士試験とは?

 弁理士試験は、年に一度開催される弁理士となるための資格を取得する試験です(以下で試験の説明をしますが、詳しくは特許庁HPにてご確認ください。)。具体的には、短答式筆記試験(東京・大阪・仙台・名古屋・福岡)、論文式筆記試験(東京・大阪)及び口述試験(東京)によって行われます。なお、短答式筆記試験は5月中旬〜下旬に、論文式筆記試験は必須科目が6月下旬〜7月上旬、選択科目が7月下旬〜8月上旬に、口述試験は10月中旬〜下旬に行われます。また、受験資格に年齢制限や学歴制限はありません。

 受験には、願書に必要事項を記入し、1万2千円分の特許印紙を貼って、4月上旬頃に郵送(平成21年度より郵送のみ)で提出します。なお、試験願書は特許庁、日本弁理士会及び各経済産業局特許室の他、郵送でも入手することができます。特に2月上旬より3月下旬まで特許庁HPにて、インターネットを通じた願書請求が可能ですので、これを利用するのが良いでしょう。

 各試験については、口述試験を除き(口述試験はテーマだけ)、過去問が特許庁HPにて公開されていますので、勉強を始める前に一度確認されることをお勧めします。なお、受験に興味がある方向けに勉強方法等の解説をしていますので、「対策」をご覧下さい。
 また、各試験について詳しくは、「各試験の概要」をご覧下さい

合格後を考える

 弁理士試験は1500〜3000時間の勉強と、数十万の費用が必要となる負担の大きな資格試験です。勉強を始める前には、まず、本当に資格が必要かどうか十分に考えて下さい。

 弁理士として仕事を始めると、広汎な技術・法改正についての勉強や、英語文献を読むための英語力が要求されます。そして、明細書や意見書の執筆に際しては、相当の文章作成能力も必要であります。さらに、顧客、発明者又は特許庁と、高度な技術に関する面談を行う機会も多く、コミュニケーション能力も問われます。ですので、資格取得後も、様々な勉強が継続して必要となることにも覚悟が必要です。

独学で合格できるか否か

 受験機関や私ゼミ等を利用せずに、独学のみの勉強で合格することは可能です。少なくとも、短答試験は十分合格できます。そして、受験機関等を利用した場合に比べて、格段に安い費用で合格できるというメリットがあります。但し、独学の場合は、合格するまでの期間が長くなるというデメリットもあります。なお、私自身は、某大手受験機関の基礎講座を受講後、私ゼミ(月2回隔週)で論文答練をし、短答試験の勉強は独学で行いました。その経験からいうと、完全独学は十分可能ですが、論文試験の勉強には受験機関又は私ゼミを利用した方が効率的であると思います。
 受験機関についてもっと詳しく「受験機関を選ぼう」

 ※弁理士試験合格に必要な費用について
 特許庁HPに掲載された弁理士試験統計を基に、4回目の受験で最終合格するとして(2回目の受験で短答試験に合格し、全勉強期間は4年とする)計算しています。また、講座については、私が勉強を始める時に最低限必要なものとして選ぶと仮定して選択しています。なお、講座外の書籍費、弁理士試験受験料(特許印紙で12,000円)は含んでいません。

 A.受験機関を利用する場合
 L社 1年目:初級コース(約34万)+2年目:中上級コース(約33万)+3年目:論文対策(約17万)+4年目:論文答練(約16万)+直前論文模試3回(約6万)=計106万円
 W社 1年目:8ヶ月コース(約38万)+2年目:論文コース(約22万)+3年目:論文コース(約22万)+4年目:論文答練(約14万)+直前論文模試3回(約6万)=計102万円

 B.論文試験用の答案練習と模試のみに受験機関を利用する場合
 L社 1年目:独学+2年目〜4年目:論文答練(約16万×3回)+直前論文模試3回(約6万)=計54万円
 W社 1年目:独学+2年目〜4年目:論文答練(約14万×3回)+直前論文模試3回(約6万)=計48万円


 独学の場合、勉強開始の初期における金銭的負担が少ないというメリットがあります。残念ですが、この時期に合格をあきらめる方も多いので、まずは短答試験に合格できるかどうかを一つの目安とするのが良いと思います。短答試験合格レベルに達すれば、モチベーションを高いままで維持できますし、その後にお金と時間を費やす価値があると思います。なお、短答試験合格すると免除を受けられるようになりましたので、短答試験に独学で挑むことのメリットがより大きくなりました。

とりあえずなら、入門/基礎講座は受講しない!

 勉強を始めるに当たって、とりあえず入門講座や基礎講座を受講するのは、思いとどまって下さい。早急に資格取得が必要という場合は別ですが、勉強を始めてみてそれでも基礎力に不安を感じる場合に、初めて受講するので十分だと思います。受講が無駄になることはありませんが、これらの講座は半年から1年程度の受講期間と10〜20万程度の受講料が必要となります。残念ながら資格取得をあきらめる方も多いのが現実ですので、まずは勉強を続けられるのかを見極めて下さい。数年後の合格を目指して勉強を開始するならば、特許庁で作成している「知的財産権制度入門」を読んだ後に、短答用又は論文用の各講座を受講するほうが効率的です。なお、各講座を受講する時は、授業を理解するための予習が別途必要になります。

 ちなみに、「知的財産権制度入門」は、特許庁ホームページの「知的財産権について」のページで無料で入手することができます。このテキストには、特許、実用新案、意匠、商標の各制度の概要が記載されており、これを読めば一通り各制度について理解することができます。なお、「地域における・・・サービス」と、「様式編」及び「参考編」は、読まなくとも結構です。

 また、特許庁が初心者向け説明会を開催していますので、これに参加しても良いでしょう。「知的財産権制度説明会(初心者向け)」の日程は、特許庁ホームページの「説明会・セミナー・シンポジウム・フェア」の知的財産権セミナー等イベントカレンダーで調べることができます。


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